「池ポチヤよりはずっといい」と思っていたが、前半のスコアは53。
ラフに打ち込むとミスショットが続き、かなりの大叩きをしていた。
四人のうち、ダントツの39で上がったのは友人の友人、初対面のWさんだった。
小柄ながら競技ゴルフに熱中しているというつわものだ。
彼は深いラフからは絶対無理をしない。
短いクラブで確実に出し、次のアプローチをしっかり寄せていく。
パットが入ればパー。
外れてもボギーだ。
『まずは確実に出せ、か、寄せがうまいとああいうプレーができるんだな』Iさんはそう感じて後半に臨んだ。
3ホール目のパー5.Iさんの第1打は右の深いラフに捕まった。
やっかいな場所だな、と思ったIさんはWさんにこう聞いてみた。
「Wさんなら、あそこから何番で打ちますか」Iさんなら5番アイアン。
草の抵抗で飛距離が出なくても、100ヤードくらいは飛ばせるだろう。
うまく打てて150ヤード以上飛ばせれば、その分だけ第3打が短くなる。
そう考えていたのだが、Wさんはこういった。
「球が沈んでいますから、僕なら多分ピッチングですね」『やはり刻みか、でも3打目は200ヤード以上残る、パーオンは難しいな』そう思ったがIさんはWさん流を試してみるつもりでピッチングウェッジで打ってみた。
ラフの草の抵抗は感じたが5番よりはずっと楽に振り抜けた。
『これだけのラフでも、ピッチングなら結構きちんと打てるんだな』Iさんはそう感じた。
そして、次の第3打ですごいことが起こった。
残り225ヤード。
フェアウェイだったので3番ウッドを持った。
乗せるつもりはない。
グリーン近くに運べればいい。
そう思ったのに打球は真っすぐピンに向かった。
グリーン手前に落下して、ポンポンと弾んでピンに寄った。
1メートルにピタリだ。
Iさんは驚いた。
3番ウッドでこれほどの当たりは何年ぶりだろう。
そのパットを慎重に沈めてバーディーをとったのだ。
上がってみて、もっと驚いたのはWさんがIさんの第3打のナイスショットを予言していたことだった。
スイングが始まったとき、「これは乗るよ」と他の二人に告げていたというのだ。
予言の根拠はこういうことだったという。
「スムーズにアドレスができ、力みなくスイングが始まりましたからね」実はIさんも同じことに気づいていた。
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